SHINDO-KANO LABORATORY
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トリプチセンの化学

トリプチセンは剛直で対称性の高いバレレン骨格に芳香環が縮合した化合物です。昔からその変わった形の物性研究や構造化学、超分子化学、最近では材料科学のパーツとしても使われます。しかし、いかんせん、作りにくい。特に置換基を入れて機能性を持たせようとすると難儀します。
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トリプル連続環化―切断反応の発見

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高エネルギー3重結合同士の反応

イノラートとベンザインとを反応させたら、トリプチセンが得られました。イノラートと炭素-炭素三重結合の初めての付加反応です。3つのベンゼン環が縮合すると同時にイノラートの炭素-炭素3重結合が切れています。
イノラートとベンザインが形式的[2+2]環化付加(実は段階的反応)を2回繰り返し、Dewarアントラセンという高歪化合物ができて、これが開環後、さらにベンザインとの[4+2]環化付加でトリプチセンが生成したと考えています。これは理論計算でも支持されています。


Umezu, S.; Gomes, G. B.; Yoshinaga, T.; Sakae, M.; Matsumoto, K.; Iwata, T.;Alabugin, I.; Shindo, M., Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 5, 1298. (Synfact of the monthに選定されました)
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レジオ選択性も画期的!です。このようなトリプチセンを一発で作ることができるのはイノラートだけ!!!
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こんな歪んだトリプチセンも取れました。TMSだけでなくTBSやTIPSだって作れるのです。ベンゼン環がとんでもなく歪んでいますが、意外に安定です。
​高エネルギートリプチセンの誕生です。

​Chem Eur J  25, 13855 (2019) (Cover Figure)


中間体のアントラセノキシドをアントロンから生成すると

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​アントロンとベンザインとをうまく使ってもトリプチセンがよい収率で取れます。アントラセンはいろいろ厄介だけど、アントロンなら使える!

ChemEurJ 26, 8506 (2020) (Hot Paper)(Cover Figure)
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トリプチセンのフロー合成(実は世界初)

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フロー合成でトリプチセンを作ってみました。細谷先生の方法でボーレートを生成して、昇温してベンザインを出す方法がよかったのです。フラスコ反応と遜色ない場合もあって、結構いけるかも。

Synlett, 31, 1903 (2020) (Editor's choice)

Pd触媒の七変化?!(実は四変化)

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3か所のブロモ基をPd触媒で単純に鈴木カップリングをしようとしたら、肝心の鈴木カップリングは1か所だけ、1か所はMeO基のC-Hが切れて繋がれた架橋環、残り1か所は還元されたキラルトリプチセンが取れました。架橋はいわゆる「C-H活性化」でできたものはすぐにわかりましたが、還元剤は何?となりました。詳しく調べたら、切れたC-Hがそのまま分子内転位してました。さらに詳しく調べましたら、酸化的付加(A)、かなり珍しいPdの1,5-転位(B, C)、酸化的付加(D)、還元的脱離、鈴木カップリングという経路でした。またPd(II)からPd(0)への還元はフェニルホウ酸のホモカップリングで生成しているらしい。とにかくPdが様々な形で登場しているのが面白い。

Chem. Eur. J. 27, 11548-11553 (2021)  Hot topics, Cover Feature

トリプチセンをぶっ壊せ!~アセンができた・・・・

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トリプチセンを強酸で処理すると、バレレン骨格がパカッと開き、アセンができました。今まで誰も気が付かなかったぐらい単純な逆フリーデルクラフツ反応です。電子材料の原料合成にいかがかな?
​Chem. Eur. J. 28, e202104160 (2022).
あちらこちらで紹介されました。
  • ​Selected as Front Cover and Cover Profile.
  • [プレスリリース] [九大からの成果発表][科学新聞記事][客観日本記事]

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フッ素コーティングされたトリプチセン

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フッ素面をもつトリプチセンです。
​こんなものもイノラートで一発で作れます。
​分子のフッ素コーティングにいかが?
Synthesis 2022, 54, 4971–4978 
​アライン合成化学特集号の表紙を飾りました。

未来分子:スーパーイプチセンの合成

スーパーイプチセンの合成に向けてアンビデントアントラセン法を開発しました。アラインとアントラセノキシドの両者の性質を持つユニットをつなげていくことで世界最長のイプチセン【スーパーイプチセン】を合成しました。ベンゼン環が13枚は新記録です。
この論文も表紙を飾りHotTopicとしてインタビューを受けました。
T. Iwata, M. Hyodo, R. Kawano, M. Shindo, Chem. Eur. J. 2024, 30, e202303687. https://doi.org/10.1002/chem.202303687
また、イノラートに大きめのアラインを反応させることで馬鹿でっかいイプチセンを一発で合成できました。また、イノラートに異種のアラインを段階的に反応させると非対称イプチセンも合成できました。なかなか制御が難しく分離もそれなりに大変ですが、作れちゃいます。少なくとも、他法では作るのが大変厄介な化合物なので、低めの収率でも一反応で作ってしまえるのは大きなメリットで、こちらのほうが安くて早く作れます。
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分子内檜山カップリングーキラルトリプチセンの簡単合成

ひとつの分子の上で、ケイ素上の置換基がアリール基上にポンと置換される分子内檜山カップリングの開発に成功しました。実は分子内の例はほとんどはじめてに近いぐらいレアな反応なのです。これはトリプチセンの置換基の近接効果のなせる業なのです。この反応を利用して、キラルな多置換トリプチセンを合成しました。
​Chem. Eur. J. 29, e202300988 (2023). [Link] Selected as Inside Cover. [Link]
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超高回転遷移金属配位子:Trip-phos

パラジウムの配位子なんぞは巷に星の数ほど報告されていまさら・・・・ではなかった!トリプチセンに載せたホスフィン配位子が驚くほど高性能を示し、鈴木カップリングで最高TONが7千万!!!Buchwald配位子であるXphosやSphosに近い活性化を示しつつ、このTONは見過ごせない!この超高回転安定配位子Trip-phosは製造コスト削減に役立ちます。皆様いかがですか。サンプル供与できますので、新藤までお問い合わせください。(論文は今しばらくお待ちください。特許はとっていませんので自由にお使いいただけます)
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脂質二重膜の化学

トリプチセンを人工脂質にしてみたら、とんでもない働きをすることが分かりました。もうすぐ論文が出ますので少々お待ちください。(九大理学部、群馬大理工学部、阪大理学部との共同研究)
いま、全力でトリプチセンやイプチセンの合成に取り組んでいます。カゴ分子やカプセル分子、でっかい環を持ったチューリップ分子、大きなイプチセン、キラルなトリプチセン、スーパーイプチセン、大環状イプチセンが続々と合成されています。そして、・・・・・・乞うご期待!

共同研究募集中!各種材料にトリプチセンを使ってみませんか。
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